今日ご紹介する本は『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』になります。
この本は多数の著名人が紹介していますが、中でもあのマイクロソフトのビル・ゲイツが、2018年にアメリカの大学を卒業する希望者全員に無料配布をしたという程、素晴らしい内容の本となっています。
今回の記事はこういう人におすすめです。
・世界の真実を「数値化」によって正しく見たい人
・あなたの「常識」は世界の「非常識」かもしれません、そうした「勘違い」を無くしたい人
・本書で語られる「10の思い込み」を克服するための方法を知りたい人
・『ファクトフルネス』という本の重要な要点をサクッと知りたい人
この本ではいかに私たちが日々思い込みで世界を見ているかをわかりやすく解説しています。
さらに「データに基づいて客観的に見ることがいかに大切か」を教えてくれます。
この本の著者はどんな人?
著者はハンス・ロスリング、スウェーデン・ウプサラ市出身の医師、公衆衛生学者。カロリンスカ研究所の国際保健学の教授および、スウェーデン・ストックホルムに拠点を置くギャップマインダー財団のディレクターを務めた。「ファクトフルネス」は彼が末期のすい臓がんが見つかり、余命宣告される中で書き上げ、死後に出版された“圧倒的熱量”を持って書かれたベストセラー本です。
「ファクトフルネス」とはどういう意味でしょうか?
これはデータを基に世界を正しく見る習慣を表しています。
言い換えると本能や思い込みに左右されるのではなく、あくまでデータを基に世界を正しく見ていきましょうと言うことになります。
多くの人は世界を正しく見ていると勘違いしていると著者は言います。
例えば本書では「世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は過去20年でどう変わったか?」と言う質問が出てきます。
あなたはこの答え正しく認識していますか?
1.約2倍になった
2.あまり変わらなかった
3.半分になった
さて上記の回答のうち、どれを選択しましたでしょうか。
この答え、実は3.半分になったが正解なのです。
この時点で衝撃の事実だったかと思います。実は私も2.を選んで間違えました。
この質問の正解率は実に7%だと言うのです。
学歴の高い人やノーベル受賞者や国際的なエリートでも正解できなかったそうです。
つまり、どんなステータスを持つ人でも「間違える」、「認識に誤りがある」と言うことです。
ランダムに回答を選んだとして3択問題は平均33%で正解できるにも関わらず、実際の正解率7%と言うことはみんな同じように勘違いをしていると言うことになります。
本書ではこの問題の詳細についても解説をしてくれていますので興味のある方はぜひご一読いただければと思います。(なお、正答率についてはちょっとした皮肉も書かれています。)
本書で語られる「10の思い込み」について
このような問いがいくつか出てきますが、それらの答えは皆同じ傾向を持っています。
この傾向から分かることは、私たちは世界の正しい姿が見えていないことが多いと言うことです。
ではこの錯誤は一体どこから来ているのか?
著者によると、それは脳の構造からきていると言います。
私たちの脳は原始時代からあまり変わっていないと言う話は最近書店でもよく平積みされているアンデシュ・ハンセン著「運動脳」でも語られています。
私たちの脳にはあらかじめ組み込まれた本能があります。
それは差し迫った危険から逃れるために一瞬で判断を下す本能、有効な情報やドラマチックな物語に耳を傾ける本能、飢餓に遭遇した時に必要なエネルギーである糖質や脂質を欲する本能などがあります。
本書で与えられる設問に多くの人が間違いを犯してしまう理由もこの本能にあります。
著者は人間はよりドラマチックな答えを選ぶ傾向にあると指摘し、私たちは無意識のうちに10の「ドラマチックすぎる世界の見方」を持っているそうです。
この10個の本能をコントロールできなければ、事実に基づいて世界を正しく見ることはできないと言います。今ある世界を正しく認識できなければ社会問題の解決や未来を予測することも、機器に対応することもできません。
本書ではこの10個の本能を誰にでも分かるように解説し、抑える方法を教えてくれます。
ここで指摘される10個の思い込みは以下の通りです。
- 分断本能:世界は分断されている
- ネガティブ本能:世界はどんどん悪くなっている
- 直線本能:世界の人口はひたすら増え続ける
- 恐怖本能:実は危険でないことを「恐ろしい」と考えてしまう
- 過大視本能:目の前の数字がいちばん重要だと言う思い込み
- パターン化本能:ひとつの例が全てにあてはまると言う思い込み
- 宿命本能:すべてはあらかじめ決まっていると言う思い込み
- 単純化本能:世界はひとつの切り口で理解できると言う思い込み
- 犯人捜し本能:だれかを責めれば物事は解決すると言う思い込み
- 焦り本能:いますぐ手を打たないと大変なことになると言う思い込み
これらの10個の本能について本書では具体例を示しながら説明してくれています。
実際に私たち読者のほとんどがこの本能に左右され、間違った認識をしていることに衝撃を受けることでしょう。
それではまとめ
私たちは日々様々な情報に晒されています。メディアの多くが衝撃的な内容を伝える一方、本当に知っておくべき良いニュースは悪いニュースの上げに隠れてしまい、触れられることがないことも多々あります。
また流行りのSNSに投稿される情報は、誰かが意図的に情報を操作して発信している可能性が高く、それを見たことで自身の脳内に描かれる“頭の中のドラマ”に影響されて、盛大な勘違いをしてしまわないように常に正しい情報は何かを確認する術を持ちましょう。
偏見や思い込みをなくすには、与えられた情報のみでなく、自ら情報を取得し、データで世界を見ることが重要です。冒頭に書きましたがファクトフルネスとは、“データを基に世界を正しく見る習慣”のことです。
本書にある「10のドラマチックすぎる本能」を認識して、皆さん一人一人がファクトフルネスに基づき行動することで、世界をよりよい方向に進めていきましょう。
